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高血圧治療ガイドライン2009

はじめに
高血圧治療ガイドライン2009とは

 高血圧治療ガイドラインは、これまで2000年と2004年に出版され今回のガイドライン2009は第2版となります。
ガイドラインが出版された目的は高血圧患者の方の最適で標準的な指針を示すことにあります。
 実際の高血圧診療においての治療方針は、患者それぞれの病態や状況を考慮して、主治医の裁量によって決められるものなので、 治療は主治医の指示に従ってもらうべきものではありますが、 一般的な基準は知っておいてほしいものです。
 現在わが国の高血圧人口は4000万人ともいわれていて、急速な高齢化の状況では、今後一層の高血圧人口の増加が推測されています。
高血圧は心血管病、特に脳卒中の最大の危険因子であるため、その予防と治療は世界的な課題と言えるでしょう。

高血圧と心血管病
高血圧と脳卒中
32a.png 血圧の値が上がると脳卒中等の罹患率・死亡率は増えます。脳卒中の分類の中では、 脳出血は脳梗塞より血圧との関係は強く、 血圧が高いほど脳出血は起こり易くなりますが、脳梗塞も血圧が高くなるほど罹患率・死亡率は高くなります。

 日本内外の追跡調査結果をまとめた資料が健康日本21にも示されていますが、それによると収縮期血圧の10mmHgの上昇は、男性では20%、女性では約15%脳卒中罹患・死亡の危険度を高める事が示されています。 高齢者では、青壮年者ほどではありませんが、やはり血圧が高くなるほど脳卒中の危険は高くなります。

高血圧と心疾患
 高血圧と心疾患の関係は、高血圧と脳卒中との関連性よりは弱くはなりますが、同様に血圧が高くなるほど罹患率は増えます。

高血圧と慢性腎臓病
 慢性腎臓病(CKD)の方も、血圧が高いほど予後が悪く、脳卒中、心筋梗塞のリスクが高くなります。 言い変えれば、血圧を管理する事は腎障害を軽減し、心血管障害の低下につながるのです。

その他
 メタボリックシンドロームの人の循環器疾患の発祥リスクは高く、日本の調査においても、メタボリックシンドロームの人はそうでない人に比べて1.5~2.4倍程度の罹患リスクがあったとの報告がされています。

日本人の高血圧の特徴

多い食塩摂取量
38d.png かつてわが国に高血圧が多く、脳卒中が多発した理由の一つとして、食塩の過剰摂取があげられていました。 よく知られていることですが食塩摂取量が多くなると血圧は高くなります。

 24時間の蓄尿で調べた結果では、日本の現在の食塩摂取量は1日11~12g程度あるようです。 かつて、1950年代の東北地方の食塩摂取量推定値は1日25gにも達していたとの報告もあり、日本を含む東アジア地域では食塩摂取量が多く、今回の研究の対象となった世界32か国の中では、中国、韓国、日本とも食塩摂取量が高い国に属しています。


肥満度の推移
43-3c.jpg かつて日本では食塩摂取量がきわめて多い、やせている高血圧患者が多かったのですが、 近年、男性では肥満を伴う高血圧患者が増加しています。


アルコール
43-4d.jpg 中年期男性の飲酒量が多いことも血圧低下を抑制している要因と考えられています。


まとめ
 日本では食塩摂取量が依然として多く、 たとえば1日当たり食塩3gの低下で、収縮期血圧の1~4mmHgの低下が期待できるのです。 たかが1mmHgと思ってはいませんか?

 血圧の高い人は1mmHgでも2mmHgでも下げれば良いのが血圧で、国民の血圧水準が平均としてわずか1~2mmHg低下しても、 脳卒中や心筋梗塞の罹患率・死亡率に大きな影響があることが知られています。 国民の収縮期血圧の水準を2mmHg下げる事で、 脳卒中罹患率は6.4%低下し、虚血性心疾患罹患率は5.4%の低下が期待できると報告されています。

43-5e.jpg わが国において減塩対策は必要ですが、食事はおいしくいただく事は基本なので、減塩のためにまずいのをがまんするというのは間違っていて、 薄味に慣れるとか、だしをきかせるとかレモン等を利用する等の方法もありますが、そう言ったことではなく、国民の多くが自然に減塩できる環境が整備される事が必要のようです。

 たとえば、 知らず知らずに食塩を摂取してしまう加工食品等にNa量ではなく、食塩量の表示をするなどが高血圧予防の減塩対策上、きわめて重要の課題と言えるでしょう。