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甲状腺機能低下症

はじめに
甲状腺機能低下症とは

種類と治療種類と治療
 甲状腺機能低下症には先天性の低下症としては甲状腺ホルモンが不足することで脳の発育や成長が遅くなり、知能障害や身長が伸びないクレチン症という病気を引き起こす原因となりますが、日本では昭和50年より全ての新生児に甲状腺刺激ホルモンの検査をして、早期発見・早期治療が行われています。世界的にはヨード不足による甲状腺機能低下症がありますが、日本人はヨードを多く摂取する国民なのでヨード不足による低下症はないようです。脳の下垂体や視床下部の異常に伴う甲状腺機能低下症もありますが、まれなもので、また甲状腺の手術や放射性ヨード治療後の低下症もあるものの、成人で最も多いのは自己免疫疾患の橋本病(慢性甲状腺炎)です。
 いずれのタイプも根本的な治療法はなく、甲状腺ホルモン剤の補充治療があるのみで、ヨードを過剰に摂取しても効果はありません。

症 状
 低下症では血液中の甲状腺ホルモンが少なくなるので脈が少ない、 皮膚の乾燥、 全身のむくみ、食べない割に体重が増える、寒がり、体温の低下、むら返り、もの忘れ、受け答えがゆっくりになる、いつも眠い、便秘、 発汗減少、脱毛、声がれ、月経過多、高コレステロール血症などがあります。

甲状腺ホルモン製剤
 甲状腺ホルモンとしての効果はТ3が担っているので、本来はТ3で補えば良いようなものの、 Т3は吸収が速やかで排泄が早い (血中の半減期が短い)という弱点があって安定した血中濃度を保ちにくいため機能低下症の補充療法では原則としてТ4製剤 (チラーヂンS)を用います。Т4は半減期が約1週間と長く、肝臓や腎臓などで徐々にТ3に変換されるので、適切な量を毎日服用すると結果として良好な血中濃度が継続的に維持できるのです。

チラーヂンSの服用方法
 甲状腺ホルモンの分泌は午前中が午後より少し高くなることが知られています。チラーヂンSは内服してから2~4時間後に最高血中濃度に達するので、その意味では午前中に服用することが一般的と言えるのですが、 Т4の血中半減期が長いことから、 毎日飲み続けているうちに服用時間がずれても血中濃度 の変動はほとんどなくなりますし、 食前か食後かも特に限定する必要もないとされていますので、 いつ服用しなければならないかではなく、 いつ服用すれば忘れないかの方が大切になるでしょう。

36a.png飲み忘れた場合は??

 たとえば朝食後の処方であっても、その日であれば気づいた時点で服用して下さい。翌日に飲み忘れに気づいて場合は、前日分は服用せずに当日分だけを服用するようにして下さい。

チラーヂンSとの飲み合わせは??

 チラーヂンSは血中にある甲状腺ホルモンと同じなので他剤との飲み合せで禁忌なものはありません。けれども薬剤が腸管から吸収される時に吸収を妨げる薬がありますので、これらの薬と併用する場合は服用時間をずらす必要があります。チラーヂンSは一日のうち、いつ服用しても問題ないため通常はチラーヂンSの服用時間を変更します。 36b.png
下記の表を参考して下さい。

【チラーヂンSの吸収が阻害される薬剤】

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