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甲状腺

はじめに
甲状腺とは

35a.png 甲状腺は首の前方で、のどぼとけのすぐ下にあります。ちょうど蝶が羽を広げたような形をし、そのすぐ後ろの気管を抱き込むように張り付いています。

 普通は右葉左葉ともに縦が約4cm、横が約2cmで合せた重さは15~20g。 厚みがあまりないため見ても触っても分かりません。

 甲状腺は小さな臓器ですが甲状腺ホルモンを産生する大切な役割を果たしています。

甲状腺ホルモンの作用
 甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進し成長・発育を促進するとともに体温を調節したり、脳・心臓・胃腸の働きを活発にしたりと生命活動にかかわる働きをコントロールしています。

甲状腺ホルモンの合成
 甲状腺ホルモンは食物、主に海藻類に含まれるヨードを原料にして作られます。

甲状腺ホルモンの種類
体内の甲状腺ホルモンはヨウ素を4つ有するТ4とヨウ素を3つ有するТ3で、Т4はТ3に代謝されてから甲状腺ホルモンとしての作用を発現します。

甲状腺ホルモンの過剰
 過剰の病態を甲状腺機能亢進症といいます。甲状腺機能亢進症を呈する疾患のほとんどがバセドウ病です。

 健康な人では下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺細胞表面にある、甲状腺刺激ホルモン受容体を刺激して甲状腺ホルモンの生成分泌を促しますが、バセドウ病ではリンパ球が自分の甲状腺を異物と誤認して、それに対する抗体を造り出し、その自己抗体がTSHと同様に甲状腺刺激ホルモン受容体を刺激して甲状腺ホルモンを必要以上に生成分泌させるために起こります。

 このようにバセドウ病は甲状腺ホルモン不足(甲状腺機能低下症)の橋本病(来月号でお伝え予定)と共に自己免疫疾患のひとつで、女性に多く、なぜ多いのかははっきりしていませんが一般的に自己免疫疾患は女性に多いことが知られています。

バセドウ病
症状
・症状としては疲れ易く沢山食べるにもかかわらず太れなく汗っかき。
・脈が速く動機があり微熱がある。
・少し動くだけでも息切れがし、わけもなくイライラして怒りっぽくなる。
・腸の動きが活発になり軟便や下痢をおこしやすい。
・すぐにのどが渇き、興奮気味でよく眠れない日が続く。
・症状が重くなると首元が腫れて眼球が出てくる。
・髪の毛が抜けて手足の震えが止まらない等。

 バセドウ病のように新陳代謝も活発すぎると車のエンジンをふかしっぱなしでオーバーヒートするようなもの。適切な治療を受ければ普通の生活がおくれますので、体へのダメージが少ない早期に発見する事は大切で、気になる症状のある方は医師に相談してみてください。

治療法
 薬物療法(薬を飲んで治す)、放射性ヨード内用療法(アイソトープを飲んで治す)、手術療法(手術をして治す)があります。

日常生活の注意点
1.バランスの良い食事をとるようにしましょう。海草類(ヨード)は医師から指示されない限り普通に食べてもかまいませんが、昆布茶などヨードをたくさん含んでいる物は慎むべきでしょう。

2.甲状腺機能が亢進状態にあるとき、周期性四肢麻痺(突然、腰が抜けるようになるもので、男性に多く見られる。)が起こることがあります。しばらく安静にしていれば治りますが、血液中のカリウムが低下したためと言われていますので、カリウムの多い果物類などを多くとるようにして下さい。

3.腸の働きが活発になることによって、軟便やときには下痢になることがありますhので極端の過食や消化の悪い食品は避けるようにして下さい。

4.甲状腺ホルモンの高値が長く続くと骨を破壊する細胞の力が強くなり骨がもろくなると言われていますのでカルシウムを多く含んだ食品をとるように心掛けて下さい。

5.抗甲状腺薬は体の免疫抵抗性を弱めるので、ワクチン接種を受けると感染してしまう恐れもあるので、予防接種を受ける場合は主治医に相談して下さい。

5.喫煙はバセドウ病の眼球突出を悪化させますので吸わないようにして下さい。


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