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口腔ケア

はじめにsanta.jpg

 口は災いのもととはよく言ったもので、口腔が健康でないと様々な病気を引き起こすこともあり、正に口は災いのもとと言えるでしょう。
 口腔機能は食べる、味わう、話す、歌う、笑う、呼吸するなど数多くあり、元気で生活を楽しむためにもお口はすこやかでありたいものです。
 今回は口腔ケアの重要性について考えてみましょう。

口腔内の異常とプライマリ・ケア

family.jpg プライマリ・ケアという言葉を耳にするようになりました。プライマリ・ケアには様々な意味がありますが、ここで取り上げるのは患者様を全人的に、包括的に診ることを意味するものです。プライマリ・ケアの診療にはかなり幅広い知識・能力が必要で、テレビで放映されていた「ドクターG」や「総合診療」などがそうです。また多職種の連携による治療もプライマリ・ケアにあたり、我々薬剤師も含まれます。
 現在の医療は専門性の細分化がすすみ患者様を総合的に診ることのできる医師が減少していて、そのため厚生労働省は1980年代から大学病院で総合診療医の育成を図ってきています。糖尿病や高血圧、動脈硬化が独立した病気ではなく、一つ発症する事でドミノの様に次々とたおれていくことがありますが、口腔内の異常もそれと同じことが言えるのです。

口腔ケアと誤嚥性肺炎

oldwoman.jpg 誤嚥性肺炎とは口の中の唾液や細菌が誤って気道に入り込むことで起こる肺炎です。
 口腔内微生物は約300種類といわれていて病原性は弱いですが、肺炎の原因ともなり実際、誤嚥性肺炎から検出される細菌は歯周病菌を中心とした口腔内細菌です。
 誤嚥によって発症する肺炎は70歳以上に多いことが報告されています。高齢者に多い理由としては加齢とともに唾液の分泌が減って口腔内の常在菌が増え、義歯の洗浄や虫歯の治療が不十分であればそういった事でも菌は増えてしまいます。それに加えて高齢者では異物を出そうとする嘔吐反射や咳嗽反射が低下していることが多く、特に睡眠中には口腔常在菌の誤嚥は起こりやすくなっています。
 口腔ケアは誤嚥性肺炎予防に最も重要だと言われています。

8020運動

 80歳になっても自分の歯を20本以上持てるようにという8020運動が打ち出されてから久しくなります。元々自分の歯は永久歯28本と親知らず4本の合計32本なので、20本と言えば出来そうなのですがなかなかそうは行かないようで、80~84歳の方の全国平均は12本と報告されています。歯の健康は長寿にもつながり、実際歯の健康な方のほうが医療費も少ない傾向にあり、認知症の発症リスクもおさえられるというデータもあります。
自治体によっては「お口の健康」検診を無料で行い、その結果医療費の削減という成果を出している地域もあり、口腔ケアの重要性がここでも示されています。

歯周病と糖尿病との関連

 歯を失う原因の大半は歯周病にあるといわれています。歯周病では歯と歯肉の境目に付くプラーク細菌の影響により歯肉の炎症や歯槽骨の吸収などを起こしてしまいます。
 近年その歯周病が全身疾患と深く関わっていることが示され、糖尿病との関係も明らかになりました。糖尿病患者は生体防御機能が低下しているため歯周病にかかりやすく治りにくいと考えられています。逆に歯周病患者ではTNF-αなどの炎症物質の持続的な産出によりインスリン抵抗性を生じ糖尿病を進行させてしまうと言われています。実際2型糖尿病患者では適切な歯周病治療によりHbA1cの値が改善しています。このように糖尿病患者の歯周病治療はとても大切であることが強く認識されてきています。
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おわりに

panda.jpg パンダ通信も100号を迎えることができました。これも皆様にお読みいただいた事で続けることができたと感謝申し上げます。これからもよりステップアップしながらタイムリーな話題を中心に発行していきたいと思っております。
 今年一年本当にお世話になりました。来年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。