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抗血栓療法

門松.jpg 心筋梗塞や脳梗塞等は血管の閉塞により起こり、その原因は血栓であるため、抗血栓薬は重要な薬剤です。一方、出血を伴う手術や内視鏡検査の際にはこのような薬を飲んでいると、ひどい出血の恐れはないのかと心配になる方もおられるでしょう。
 休薬の基本は抗血栓薬を処方している医師と手術等を行う医師双方の確認の下、患者様に十分説明し、明確な同意を得て行われるべきものですが、ある程度の目安は知っておきたいものです。

抗血栓薬の休薬期間の今と昔

 1999年の消化器内視鏡ガイドラインでは、抗血栓薬の休薬期間は薬剤の効果が完全に消えるまでの間休薬するというものでした。例えば、血小板の働きを抑えて血栓を予防する作用のあるアスピリンは、血小板の寿命にあたる7~10日間の休薬となっていましたが、このことで心血管系の病気が起こる割合は約2倍に、脳梗塞は約3倍となる等、リスクが問題視されるようになりました。
 そのため2005年の内視鏡指針では、アスピリンの休薬は3日と変更されています。更に2012年の消化器内視鏡ガイドラインでは、出血リスクよりも血栓塞栓症発症リスクの方がより重要視されてきています。ただし内視鏡検査と手術では異なるため、現在でも手術前は7日間の休薬が一般的です。

抗血小板療法と抗凝固療法

抗血小板療法は、血小板の働きを抑えて血小板凝集を抑制し、主に心筋梗塞や脳梗塞・閉塞性動脈硬化症等の動脈血栓症の発症予防に使われます。
 一方、抗凝固療法はフィブリンによる凝固の働きを抑えて、主として心房細動で起こりうる血栓によって発症する脳梗塞(心原性脳梗塞)や深部静脈血栓症や肺梗塞の予防に用いられる治療法です。

薬剤管理のポイント ―
  アスピリン・ワルファリン・ダビガトラン

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ステント留置術後の抗血栓薬

ステントを入れ心臓の冠動脈を拡げた場合、ステントは体にとって異物であるため血管の内皮細胞がステントを覆うまでの期間は、内皮細胞は普通より早く動き出すため血小板が活性化して血栓ができやすくなります。そのため既にワルファリン(抗凝固薬)を服用していても、強力な抗血小板薬が必要で、アスピリンとシロスタゾール(プレタール他)やアスピリンとクロピドグレル(プラビックス)の併用が基本的に行われます。

心臓弁膜症とワルファリン

 心臓には主に4つの弁がありますが、様々な理由で働きが悪くなった時に手術が行われます。自分の弁を温存する弁形成術とウシやブタの生体弁か、あるいは機械弁に置き換える場合があります。自己弁あるいは生体弁の場合は、手術後3ヶ月は血栓塞栓の危険があるためワルファリンの服用が必要で、機械弁ではワルファリンの継続的服用が必要になります。

*パンダ通信81号の白色血栓と赤色血栓も参考にして下さい。

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