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治療最前線 ― 糖尿病とスギ花粉症 ―

 今や国民病とも言われる糖尿病とスギ花粉症で新しい薬剤が承認され、糖尿病治療薬はすでに発売されました。今回は最新の薬剤についてお伝えします。

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topics.jpg新薬登場 ━スーグラ錠━

 今年4月に発売された2型糖尿病治療薬のスーグラ錠(一般名:イプラグリフロジン)は、今までのようにインスリンの働きで血糖を下げる作用とは異なり、ブドウ糖を尿に出すことで糖尿病を治療するといった新しい血糖降下作用を持つものです。
 今後、同様の糖尿病薬が数多く出る予定になっています。

スーグラ錠(SGLT2阻害薬)の血糖降下メカニズム

 体内で消化吸収されたブドウ糖は血液を介して腎臓に運ばれます。腎臓は糸球体で血液をろ過して再び近位尿細管で再吸収し、不要のものは尿として排出しています。
 SGLTとは、細胞へブドウ糖を取り込む役割を持つタンパク質で、SGLT1は小腸上皮で、SGLT2は腎でそれぞれの働きを担っています。
イラスト2.jpg 糸球体で血液をろ過した後、ブドウ糖はSGLT2によって再吸収されるので通常は尿として排出される事はありませんが、SGLT2の作用を阻害するスーグラ錠はブドウ糖の再吸収を阻害して尿にブドウ糖を排泄することで血糖を下げるのです。

実際の効果

強力な血糖降下作用が示されました。

一年間の追せき調査では体重が3.5kg減少等のデーターがあります。  
体重減少のメカニズムとしては尿中にブドウ糖を排出する結果、血糖は減少しブドウ糖消費エネルギーは代償として脂肪を燃焼するためと考えられています。

副作用

  利尿作用による体液量減少によるものが多く、頻尿8.9%、口渇4.3%、便秘3.2%などが報告されています。

topics2.jpg ━舌下免疫療法━

利 今年1月に舌下免疫療法・シダトレンが承認され、近々発売されることになっています。これまでの免疫療法は、通院して皮下注射をする必要があり、患者さんにはかなりの負担でしたが、自宅で行う事ができる舌下免疫療法は朗報と言えるでしょう。

スギ花粉症とは

イラスト4.jpg 花粉を体が異物と認識し、追い出そうとして抗原抗体反応が働くことで花粉症が発症し、スギ花粉によるものが最も多く全体の70%とも言われています。
< 抗原抗体反応 >
 花粉(抗原)を受けるとIgE抗体ができます。IgE抗体は鼻や眼の粘膜にある肥満細胞(ヒスタミンなどいっぱい持っている細胞)と結びつき、再び花粉が入って来ると花粉を追い出そうとして肥満細胞からヒスタミンなど化学伝達物質が放出されます。その結果くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が起きます。
 IgE抗体もある程度までなら蓄積されても症状は出ませんが、許容限度を超えると症状を引き起こしてしまうのです。

治療法

*薬物療法:(パンダ通信91号を参考にして下さい)
*手術:鼻粘膜表面のレーザー焼灼、わん曲した鼻中隔の鼻腔整復手術など。
*アレルゲン免疫療法:スギ花粉のエキスを少しずつ体に入れて免疫をつける。根治する可能性があり、皮下注射と舌下療法があります。

イラスト3のコピー.jpg 新しい舌下免疫療法は、自宅で花粉のエキスを1日1回舌の裏に滴下します。注射同様2~3年治療を続ける必要はありますが2~3ヶ月で効果は表れ、3年間の治験で7割の方に有効性が認められました。

注意→スギ花粉由来のアレルゲンを含むため急激なアレルギー反応が出るおそれもあり、処方医は登録が必要で、どこの耳鼻科でも処方される訳ではありません。

アレルギー疾患の今後

 今年5月の「日本アレルギー学会臨床大会」のテーマは、「アレルギー克服への新たな挑戦」です。今後、喘息などの他のアレルギー疾患に対してもより効果的なアレルゲン免疫療法の開発が待たれており、この分野の基礎免疫学研究の更なる進展を期待したいものです。

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