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夜尿症

はじめに

名称未設定 1.jpg  先日、夜尿症治療薬のミニリンメルトOD錠(成分名:デスモプレシン)の発売1周年の記念講演会があり参加しました。今までのデスモプレシンは液とスプレーの経鼻製剤のみでしたが、2012年には経口薬も発売されて従来よりも簡便になっています。一口に夜尿症といっても子どもの自尊心を傷付けたりご家族の方も夜尿の後片付けや夜尿が治らない事の不安などでストレスとなったり、特にこれからの季節学校行事での宿泊も多くなり、本人や保護者の方にとっても大変なプレッシャーです。
 推計では夜尿症患者数は約50万人と多く、そのうち受診されているのが約16万人と言われています。患児が小学生になられているのであれば自宅で自然治ゆを期待して様子をみるよりは、小児科や泌尿器科を受診してドクターに相談されることをお薦めします

「おねしょ」と「夜尿症」

名称未設定 3.jpg 「おねしょ」とは幼児期に夜寝ている間におもらしをすることをいいますが、「夜尿症」とは5〜6歳を過ぎても月に数回以上おもらしをすることと言われています。
 夜尿症は幼稚園年長時には約15%、小学校3年生では約8%、小学校5〜6年生では約5%と言われていて、年齢が高くなるにつれて減少しますが、成人になっても治らない場合もあるようです

夜尿症の原因

名称未設定 6.jpg 夜尿症の原因は様々で、睡眠が深いことも原因といえるでしょうが、一般には尿をためる膀胱の大きさと寝ている間にたまる尿量のバランスにあります。タイプとしては、夜間の尿量が正常の目安より多い場合(多尿型)と、膀胱が小さい場合(膀胱型)と、その両方がある場合(混合型)があります。
 夜間尿量は寝る前にトイレに行って膀胱をからにしておむつをして寝ます。朝起きたときに紙おむつの重さ(g)を測定して夜間の尿量を計算し、それに朝一番のトイレでの尿量(mL)を計量カップで測定して両方を合わせた値で出すことができます。正常夜間尿量としては小学校1〜3年生で200mL以下、小学校4年生以降で250mL以下を目安にして下さい。
 一方、膀胱が小さいかどうかは、家でおしっこをがまんさせ、もうだめだというときの尿量(がまん尿量)を測ります。正常のがまん尿量の目安としては小学校1年生で150mL以上、2年生で200mL以上、3年生以降で250mL以上です

夜尿症の治療

名称未設定 4.jpg 夜尿症はいずれ治ると自然治ゆを期待されることが多い疾患ですが、自然治ゆでは年に10〜15%と言われていて、治療による治ゆは1年に約50%、2年で約80%というデータもあります。
治療といってもいきなり薬剤を使う訳ではありません。まずは生活指導をしっかり守り、それでだめなら薬物治療やアラーム療法(後述)を受けることになります

生活指導⇒
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お子さんに接するときは「起こさない」「怒らない」「あせらない」の3点が大事で、夜尿がなかった朝はしっかりほめてあげて下さい。夜中に無理に起こしてしまうと、尿を濃くして尿量を減らす抗利尿ホルモンの分泌量が減って夜尿が悪化することがあります。また、夜更しや不規則な生活も夜尿症を悪化させるので規則正しい生活のリズムを立てましょう。夜尿症の子どもさんは冷え性の方が多いので、入浴などで体を温めましょう。膀胱容量が小さい場合は膀胱を大きくする訓練も大切で、無理のない程度におしっこのがまんという事も行ってみて下さい。夜間尿量が多い場合は夕方からの水分は控えめにして必要な水分は昼頃までに摂るようにして下さい。

薬物療法⇒
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多尿型の場合は抗利尿ホルモン薬(デスモプレシン)の使用で尿量を少なくし、膀胱型であれば抗コリン薬といって尿を多く膀胱にためられるようにする薬がよく使用されます。また三環系抗うつ薬といって元々はうつ的な症状を元気にする薬剤ですが、抗利尿ホルモンの分泌を促す作用と抗コリン作用があるため使用されることがあります。

アラーム療法⇒

パンツに水分を感知するセンサーを取り付けておくと夜尿の水分を感知してアラームがなります。このアラーム療法は本人を目覚めさせて排尿をうながすことが目的ではなく、夜尿時のアラーム音やバイブレーションにより覚醒して排尿抑制効果が生じ、夜間の膀胱容量を増やすことが目的になるため、膀胱型に適しています。けれども日本では保険適用外の治療のため自費での購入になることや家族の睡眠が妨げられることなどから、あまり普及はしていません。

お泊りのときの対策7.jpg

 お泊まりのときは担任の先生にお願いして、そっと起こしてもらうと良いでしょうパジャマのズボンは厚手で尿がもれても目立ちにくい色のものを選んで下さい。もし失敗したらほかの子どもが起きる前に着替えさせてもらって下さいね。