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統合失調症

統合失調症とは

001.jpg  かつては精神分裂病と呼ばれていましたが、偏見もあり統合失調症と変更されたのは2002年のことです。この疾患の多くは思春期に発病しています。一般人口の中での出現頻度は0.7%前後といわれていて、決して少ない疾患ではないのです。
 この疾患の原因としては、遺伝性の強いことや脳の器質的なものが関係しているとされているので、ドパミン過剰仮説(後述)、側頭葉内側部形成不全説、遺伝子異常などが考えられていますが現在でも原因は不明です。
 統合失調症を一口で説明すると「脳の動きが活発になりすぎて、体に色々な困る症状が出る病気」と言えるでしょう。

統合失調症の症状

003.jpg 代表的な症状としては陽性症状といわれる妄想、幻覚(特に幻聴)不解な行動やまとまりのない会話、激しい興奮などがあり、一方、陰性症状といわれる意欲の低下、感情鈍麻、無関心、引きこもりといった状態があります。

ドパミン過剰仮説と抗精神病

 そもそも統合失調症の陽性症状の基盤には神経伝達物質であるドパミンの過剰な働きに関係していると考えられています。このドパミン過剰仮説が提唱された後もさまざまな仮説、たとえばドパミン以外の神経伝達物質系の異常(特にグルタミン酸系)仮説や神経回路の異常ととらえる説など病態の解明を目指した研究はなされているものの、まだ解明されていないのが実情です。
 定型抗精神病薬といわれるものの薬理作用は主にドパミンの過剰な伝達をおさえる作用によるものです。ハロペリドール(セレネースなど)は強力な抗幻覚妄想作用があり、クロルプロマジン(ウインタミン,コントミンなど)レボメプロマジン(ヒルナミン,レボトミンなど)には強い鎮静作用があります。
 けれども定型抗精神病薬のドパミン受容体の遮断作用は、錐体外路症状(後述)などの副作用が数多く表れ、また引きこもりなどの陰性症状への効果は満足できるものではありませんでした。
そこでそのような経過を経て開発されたのが非定型抗精神病薬です。

非定型抗精神病薬 ~3種類に分類される~

002.jpg ①セロトニン・ドパミン遮断薬
セロトニンとドパミンが拮抗することを利用した薬剤です。中脳辺縁系のドパミンの作用を遮断して抗精神病薬としての効果を表す一方で、セロトニンを遮断することで錐体外路症状の副作用をおさえています。
 リスペリドン(リスパダール)パリペリドン(インヴェガ)ペロスピロン(ルーラン)、ロナンセリン(ロナセン)がこれにあたります.リスペリドンは抗精神病効果に優れ統合失調症治療薬の第一選択になりますが、非定型抗精神病薬の中では錐体外路症状や高プロクチン血症(後述)が出やすいので注意する必要があります。

 ②多元受容性作用薬
セロトニンやドパミン以外のコリンやヒスタミンやアドレナリンなど多くの受容体に作用します。オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)、クロザピン(クロザリル)があります。
 これらは抗精神病作用に加えて認知機能やうつ、双極性障害に対しても効果が期待され睡眠薬の代わりに使われることもあります。ただ、体重増加や脂質代謝異常や血糖上昇が問題となるため糖尿病患者には禁忌です。

 ③ドパミン部分作動薬
アリピプラゾール(エビリファイ)がそうです。ドパミンの受容体を部分的に刺激する部分作動薬のため大きな副作用がなく、糖尿病の方でも服用可能となっています。

錐体外路症状

004.jpg 錐体外路症状の原因はドパミンD2受容体を阻害するためと考えられています。
急性ジストニア、パーキンソン症候群、アカシジア、遅発性ジスキネジアに大別されます。
急性ジストニアとは筋肉の収縮やつっぱり、けいれんなどの症状で、パーキンソン症候群は筋固縮、振戦などの症状を表し、アカシジアは足がムズムズする、そわそわする、じっとしていられないなどの症状をいい、遅発性ジスキネジアは舌や唇、下顎や四肢、体の不随時運動の症状をいいます。

高プラクチン血

 プラクチンは下垂体前葉で生合成されるホルモンですが、ドパミンは強力にプラクチンの分泌を抑制しています。けれどもドパミンD2受容性拮抗薬によりプラクチン分泌抑制が阻害されて結果として血中のプラクチン濃度が上がります。この高プラクチン血症は無月経、乳汁分泌、性欲低下などの症状を引き起こします。

抗精神病薬のウソ?ホント?

 抗精神病薬は一生飲み続けなければいけないとか、飲んでいるとボケてしまうとか、中毒になるとかと耳にすることがあります。抗不安薬や睡眠薬のベンゾジアゼピン系薬剤には依存症や耐性がありますが、基本、抗精神病薬にはそういった事はありません。
また、抗うつ薬も含め抗精神病薬を服用しているとボケるという事もありません。
 ただ、一生飲み続けなければいけないかというよりは、早急な減薬や中断は再燃の原因となるので、安定期には減量をしながらも維持療法を続けるのが望ましいことは事実です。
 統合失調症の治療で大切なことは服薬もそうですが、家族、医師、薬剤師、看護師、作業療法士、臨床心理士など本人に関わる人たちの協力なのです。我々薬剤師も偏見にとらわれることなく患者を理解し誠意ある対応に心がけ、暖かく見守っていく義務と責任があるのです。

リスパダール内用液 一口メモ

005.jpg リスパダール内用液は苦味のため原液で飲みにくい場合は水やジュースで薄めて飲んで下さい。薄めたあとはすぐに服用してください。紅茶やウーロン茶、日本茶は配合変化を起こし含量が低下することがあるのでやめて下さい。