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大腸がん

はじめに
大腸がんとは

 大腸がんによる日本人の死亡数は多く、食生活の欧米化や高齢化などが原因と考えられていて、今後も増え続けると予測されています。けれども、大腸がんによる死亡率は逆に減少傾向にあり、これは治療の効果が向上してきた成果といえるでしょう。
大腸がんでは自覚症状があることは少ないため、大腸がんの発見は検診での便の潜血反応や、便秘や下痢をくり返すなどの症状があって受診して発見されることが多く、定期的な検診を行い治療成績の良い早期に見つけることが大事です。

92cat0012.jpg大腸がんとは長さ約2mの大腸に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にできやすく、治療の基本は手術による切除です。
大腸がんは大腸の壁の内側の粘膜から発生し、外側に広がっていきますから、手術はがんのある腸管を切除します。 周囲の臓器にもがんが広がっている場合には切除が広範囲になり、人工肛門( 消化管ストマ )が必要となる場合も起きてきます。
大腸がんでは、手術でがんそのものは切除できても、リンパ節転移があると再発しやすく、再発を予防する目的で術後補助療法として薬物療法が行われています。また、薬物療法は、がんが進行していて手術をしても根治的な切除ができない場合や再発したがんに対しても行われます。


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92cat0011.jpgがん化学療法とは、化学物質(抗がん剤)を用いてがん細胞の分裂をおさえ、がん細胞を破壊する治療法です。
がん化学療法の外来での治療は今から10年前に推奨し始められるようになりました。「入院しないで外来でできるものは外来で」というのがテーマです。患者さんも日常生活を送りながら抗がん剤治療を受けられることで、仕事との両立ができるなど、大きなメリットがあります。
がん化学療法は複数の薬を組み合わせられることが多く、薬剤や量や投与期間など示された計画書(レジメン)があります。

手術後の再発予防のために実施される薬物療法

92cat0013.jpg進行度分類Ⅱ期・Ⅲ期の患者さんが対象です。
点滴タイプと内服(飲み薬)タイプがあります。
※ (   )内は製品名です
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※大腸がんに限らず、がん治療では何々療法とあり、それぞれにややこしいのですが、次のように覚えると解りやすいです。 92cat008.jpg

※フォルフォックス療法(FOLFOX)☛レボホリナートのFOL+5-FUのF+オキサリプラチンのOX

※ゼロックス療法(XELOX)☛ゼローダ(Xeloda)のXEL+オキサリプラチンのOX
※フォルフィリ療法(FOLFIRI)☛フォルフォックス療法のオキサリプラチンをイリノ テカンに変えたものなので最後がIRIになります。(フォルフィリ療法は切除 不能及び再発大腸がんの時にのみ使用されます。)


※(  )内は製品名です
まず1次治療で治療を行い、1次治療が有効でない場合2次治療、3次治療と変更して行われます。1次治療ではフォルフォックス療法、ゼロックス療法、フォルフィリ療法、5ーFU+LV療法などがあり、それに分子標的薬(後述)とよばれているベバシズマブ(アバスチン)やセツキシマブ(アービタックス)やパニツムマブ(ベクティビックス)が組み合わされて処方されます。
たとえばフォルフォックス療法はすでにお伝えした3剤にオキサリプラチンによるアレルギー予防のために抗アレルギー剤と、抗がん剤による吐き気の副作用の予防にステロイド剤と制吐剤を加えたものを2週間ごとに点滴します。
また、ゼロックス療法では1日目の朝に点滴をし、その日の夜からカペシタビン(ゼローダ)を朝夕食後に2週間服用し、1週間休薬といったスケジュールをくり返す方法などで行われます。そして、起こりうるだいたいの副作用もわかっていますので、必要に応じて制吐剤や下痢止めや皮膚障害予防の薬なども処方されます。
2次治療では1次治療で使われなかった薬剤を使用する事になりますが、どの薬剤を先に選ぶかは患者さんの生活スタイルや症状によって決められます。


92cat0015.jpg分子標的薬とは従来の抗がん剤とは異なり、がん細胞の増殖にかかわる特定の分子を狙い撃ちすることでがん細胞の増殖、転移などに障害を起こし、治療効果を示します。ベバシズマブ、セツキシマブやパニツムマブがそれにあたります。
ベバシズマブはがん細胞に栄養を送る血管の増殖をおさえることでがん自体の栄養状態を悪くしてがんを小さくする分子標的薬です。
セツキシマブ、パニツムマブは細胞増殖のスイッチを「ON」にする働きを阻害することにより抗がん作用を発揮します。