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更年期障害

はじめに
更年期障害とは

 「年齢を輝きに変えて」という言葉があります。確かに若い頃には出せなかった年齢がかもし出す魅力というものはあります。けれども女性ホルモンの低下がもたらす影響は大きく、更年期にはさまざまな不調が表れてしまいます。
82-1a.gif更年期とは45〜55歳くらいの時期をいい、更年期の基盤には卵巣機能の低下があります。その更年期に現れる更年期症状は多種多様ですが、自律神経失調症を中心とした不定愁訴(※1)を主とする症候群で、ホットラッシュ(※2)、手足の冷え、動悸、不眠、イライラ、抑うつ、頭痛、肩こり、疲労感などがあります。
 更年期症状が日常生活に支障をきたす場合を更年期障害といえるでしょう。


※1 不定愁訴 → 全身倦怠感、めまい、頭痛などの身体症状で、原因がはっきりしない訴えのこと。 82-2a.gif


※2ホットラッシュ→ 外気温にかかわらず暑さを感じるとか、顔がほてってのぼせる、発汗するなどの症状。

ホルモン補充療法(HRT)

82-3a.gif更年期障害は閉経後の女性ホルモン、特にエストロゲンの低下によって発症するわけですから、そのホルモンを補う治療はしばしば見受けられます。治療 を開始して普通は2週間から1ケ月くらいで主訴のほてり、発汗、動悸などの症状の改善がみられ、イライラやうつ症状、不眠不安などの精神神経症状の改善も2ケ月もたつと実感できるようです。

エストロゲン低下による心血管疾患の発症

 女性ホルモンには心血管保護作用があります。そのため、女性は同年齢の男性に比べ心血管疾患の発症は少ないですが、更年期を過ぎた頃から女性も増えはじめ、75歳以上では男性と同じになるというデータがあります。

エストロゲン低下による脂質への影響

 女性の血清総コレステロール値は閉経を境に高くなり、女性ホルモンの脂質の代謝における役割が明らかになっています。


エストロゲン低下による骨密度への影響

 高齢化に伴い骨粗鬆症患者は増加しています。骨粗鬆症患者のほとんどは女性です。男性は女性より元々の骨量が多いうえに、女性のような急激な低下がないためです。エストロゲンは骨量にも作用し、閉経後10年で急激な低下をきたしてしまいます。骨も毎日生まれ変わっているのですが、加齢やエストロゲンの低下に伴い骨を壊す細胞(破骨細胞)の勢いが骨を作る細胞(骨芽細胞)を上回る状態が続くと骨密度は低下してしまい骨粗鬆症になってしまうのです。
 骨粗鬆症による骨折は、日本での寝たきりの原因の第1位の脳血管障害についで第2位になっていますので、骨折予防は大事で日頃から注意する必要があります。
 骨粗鬆症の危険因子としてはすでにお伝えしたように加齢や女性ホルモンの低下の他に、運動不足、ダイエットなどによる低栄養(カルシウムやビタミンD、ビタミンKの 不足)、喫煙などがあります。 86-4d.gif


エストロゲン低下による髪への影響

 更年期以降に薄毛に悩む女性が増えています。この時期からの女性の薄毛の主な原因はエストロゲンの減少です。エストロゲンの減少によって髪の成長は悪くなり、 細毛薄毛になってしまうのです。


更年期障害における漢方薬

 当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸は古来より三大婦人漢方薬と言われていて、更年期障害にもよく使用されています。


当帰芍薬散 : 色白で貧血傾向や、やせ型で脚腰が冷えやすいなどの人に用いられます。
加味逍遙散 : そもそも逍遙とはそぞろ歩きとか行ったりきたりふらつく事という意味で、その度ごとに訴えが変わるような症状に使われることも多く、体質は虚弱で肩こり、疲れやすい、精神不安や便秘傾向といった方などに用いられます。
桂枝茯苓丸 : 体格はしっかりしていて顔が紅く、のぼせ傾向の方などに用いられます。


一言メモ

閉経の定義 ➪ 12ケ月以上の無月経をもって定義されています。子宮摘出後などのように、月経によって判断できないときは、卵胞刺激ホルモン(FSH)40IU/ml以上で、かつエストラジオール(E2)20pg/ml以下で閉経後とされています。

男性の更年期障害➪ 男性の更年期という言葉もよく耳にします。けれども、男性には女性のようなホルモンの急激な低下はないため、男性の場合はホルモンの低下による影響は少なく、どちらかというと社会的因子が主な原因と考えられています。