pt76.jpg

インフルエンザ

はじめに
インフルエンザとは

 2009年4月、私たちは新型インフルエンザにおびえ2009年6月には初めてのパンデミック(世界的な大流行)宣言を経験しました。けれども、いつの間にかそんなことも過去の事となりつつあるのが現状ですが、インフルエンザで命を落す方があるのも現実ですから、インフルエンザの基礎を学び正しい感染症対策ができればと願います。

インフルエンザの症状と診断判定

76-1a.gif インフルエンザの症状としては突然の発熱や関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感、頭痛、のどの痛みなど全身症状が強いのが特徴です。実際インフルエンザかどうかは迅速診断判定キットによる方法が用いられます。この判定キットはインフルエンザウイルスによる抗原抗体反応を利用した検査法なのですが、一定以上のウィルスがないと陽性とならないため、発症直後は実際はインフルエンザであっても陰性を示すこともあります。そういった時は医師の判断で状況からインフルエンザと診断されるか、翌日に改めて検査をすることになります。

インフルエンザの合併症

image02476a.gifインフルエンザ脳症: 小児に多く意識障害、異常言動や行動、けいれんなど。
インフルエンザ心筋症: 動悸や息切れ、進行すると起坐呼吸(※)など。
  ※起坐呼吸:体を横にすると呼吸困難が増し、体を起こすと楽になるので体を起こそうとする症状。
インフエルエンザウイルス肺炎: 発熱や咳、安静時の息切れなど。
細  菌  性  肺  炎: インフルエンザウイルスで全身が衰弱したときに起きる合併症で 発熱や汚い痰を伴う咳など。高齢者では発熱をしないこともあり食欲や元気がなかったりする時は受診をしてください。
脱水症状や臓器不全: 高齢者に多く食欲や活動が低下し、異常言動や異常行動を起こす。

インフルエンザ治療薬

66-3a.png A型にもB型にも有効なインフルエンザ治療薬としてはタミフル(内服)、リレンザ(吸入)、イナビル(吸入)、ラピアクタ(注射)があります。イナビルとラピアクタは2010年に承認を受けた新しい薬です。タミフルは因果関係は不明であるものの、異常行動の発現が問題となり10歳代では原則使用はできません。そこでタミフルが使えない症例に対し漢方の麻黄湯が使われることがあります。麻黄湯もA型にもB型にも効果があってタミフルとの間には有意差は認められなかったという報告があります。
 タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、これらの治療薬はすべてノイラミニダーゼ阻害薬(NA阻害薬)といってインフルエンザウイルスの表面にあるNAという酵素の活性をおさえることでインフルエンザウイルスが細胞の外に出て増えていくのをおさえます。言いかえればこれらNA阻害薬はウイルスの増殖をおさえることはしますがインフルエンザウイルスを殺傷する効果はないのです。
 そもそもインフルエンザウイルスは発症してからおよそ48時間かけて増殖しそのあと自然に治ってしまう疾患ですので、そのため発症後48時間を過ぎたあとで投与しても効果は期待できません。

解熱剤の使用について

 インフルエンザウイルスも発熱によって自然治ゆする疾患ですから、発熱しないと回復は遅れます。発熱によってウィルスは死滅し体は免疫力を付けて合併症を予防するわけなので解熱剤を用いないことが基本です。
 けれども発熱によって体の消耗が激しいときや発熱によって食事ができないとき、また脱水が激しいときは一時的にでも熱を下げることがあります。解熱剤はアセトアミノフェンを使用します。カロナールやアンヒバ坐剤やアルピニー坐剤がそうです。小児ではジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸はインフルエンザ脳症と関係があると言われていて、アスピリンはライ症候群との関係が指摘されていますので使用できません。成人では特に問題になる症例はないものの、小児にならってインフルエンザの時はアセトアミノフェンが使われることが多くなっています。

インフルエンザ感染予防76-2a.gif

 インフルエンザは飛沫感染ですが実際には咳やクシャミなどによるしぶき(飛沫したもの)で感染するよりは患者のしぶきの付いたドアノブやテーブルや椅子などを他の人がふれて二次的に自分の鼻腔や口腔内にウィルスを入れ込むことで感染することが多いようで、そのため手洗いは有効で、うがいやマスクも有効です。

予防接種

 インフルエンザ予防接種は受けてから抗体ができるまで2週間ほどかかります。そのためインフルエンザが流行する2週間前までにワクチン接種を受けると良いでしょう。予防接種を受けたあとはもまないようにして下さい。予防接種の液は注射された皮下組織にとどまり、数日かけて免疫反応を起こします。
 予防接種を受けた日の入浴は差し支えないとされていますが、接種後の過激な運動や大量の飲酒は体調の変化をきたすこともあるのでさけましょう。

学校保健安全法の取り決め

 一般的にはインフルエンザウイルスは解熱してもまだウイルスは体に残っているため学校保健安全法では解熱した後2日経過するまでは出席停止になっています。
76-3a.gif