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子宮内膜症

はじめに
子宮内膜症とは

74-2a.gif 子宮内膜症で一番多い症状は激しい月経痛です。月経痛は10代のころは誰にでも多かれ少なかれあります。これは体が十分に成熟していないためで、20歳を過ぎれば 激しい痛みはなくなるのが一般的なのですが、年齢とともに月経痛がひどくなることがあり、その第一の原因として考えられるのが子宮内膜症なのです。月経のある女性の10%に発症しているといわれていて、近年20〜40歳代の女性に急増しています。
 「とにかく痛い」というのがこの病気のつらいところです。

子宮内膜症の病態

 子宮の内側は子宮内膜という粘膜でおおわれています。この74-1a.gif粘膜は妊娠すると赤ちゃんを育てるふかふかのベットの役目をするのですが、普段は月経の時にはがれ落ちて排出されます。 本来、この子宮内膜は子宮腔(こう)だけにあるものですが、子宮以外の場所にもできることがあり、これが子宮内膜症なのです。
 子宮以外の場所とは卵巣、卵管、腹膜や直腸と子宮の間のダグラス(か)などです。
 この別の場所にできた内膜も月経と同じように周期的に出血を起こすうえ、本来排出されるべき血液は排出経路がないため血液のかたまりとして体内にたまります。こうした血液のかたまりは周囲の組織とゆ着しやがて強い痛みやズキズキとした痛みなどを伴う様々な障害を引き起こしてしまいます。
 子宮内膜が子宮筋層の中にできた場合は、子宮腺筋症と呼ばれ痛み以外に出血量も増えるのが特徴で、子宮筋腫(後述)と間違われることもあります。

チョコレート嚢胞(のうほう)

74-3a.gif 卵巣の内部にできた子宮内膜は出血が新しいものでは赤茶色で水っぽいのですが、貯留してだんだん古くなっていくと泥状となり茶色に変化してチョコレート状態になるため、それをチョコレート嚢胞と呼びます。無症状の場合もありますし、5〜6cmまで大きくなって破裂して激痛を起こすこともあります。
 命にかかわる病気ではありませんが不妊症の原因の一つと考えられています。

子宮内膜症の治療法

 最初は鎮痛薬でコントロールするのですが、鎮痛薬で痛みが軽くならないときはホルモン療法や手術療法が行われます。
 手術療法には、病巣部のみを除去する方法と子宮を全部摘出する方法があります。74-4a.gif

子宮内膜症のホルモン療法

➊GnRHアゴニスト(ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬)
コナドトロピン放出ホルモンは月経のとき間脳の視床下部から分泌され、この刺激で下垂体前葉から卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが分泌されるのですが、このアゴニスト(作動薬)は連続使用することで逆に反応が低下して、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの分泌が抑制されるので、子宮内膜の発生進行に欠かせない女性ホルモンを低下させることで月経を止めて症状を抑えます。

➋ダナゾール(テストステロン誘導体)
男性ホルモン誘導体で、病巣への直接増殖抑制作用により効果を発揮します。

➌低用量ピル
経口避妊薬のピルを服用することで妊娠中と同じホルモン状態を保つので、排卵をおさえて内膜の増殖も抑制します。低用量ピルは低用量にすることで副作用が軽減されるので、長期使用が可能になりました。

➍プロゲスチン(合成黄体ホルモン)
卵巣機能をおさえて、病巣に対しても増殖を抑制する効果があります。

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