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アルコールの功罪

はじめに
アルコールの功罪とは

  先日「神戸ライフスタイルフォーラム」に参加してきました。 テーマは「適度な飲酒がもたらす良い効果」と「飲酒の罪」でした。 酒は百薬の長であり万病のもとでもあるという事ですね。そもそも百薬の長という言語は漢 書の「食貸志」にお酒をほめていう語として書かれたものです。 「百薬の長といえど、よろずの病は酒よりこそ起これ」 とは兼好法師の徒然草の中にしるされています。

アルコールの効用

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  アルコールは善玉コレステロールを増やします。また、少量のアルコールは血液の循環を良くして体も温まり、 適量であればストレス発散になって心身の健 康が保たれます。

適正飲酒

64-1a.gif  では、アルコールの適量とはどれくらいをいうのでしょうか。 アルコールの適量とは1日1単位(右上表参照)までが望ましいのですが個人差もあり、一般的には2単位を限度とします。 この1単位とは日本糖尿病学会の80kcalを1単位とするものとは異なります。 日本糖尿病学会でのアルコール摂取については「適量(1日25g程度まで)に留め、肝疾患や合併症など問題のある症例では禁酒する。」とあります。 高尿酸血症の方は1日1単位までがお勧めです。 また、高血圧治療ガイドラインでは、「長期にわたる飲酒は血圧上昇の原因となる。大量の飲酒は高血圧に加えて脳卒中やアルコール性心筋症を引き起こ すだけでなく、癌の原因にもなり死亡率を高める。一方、少量の飲酒はむしろ 死亡率を改善するとされている。」と記されています。 アルコールは飲んだあとの数時間は血圧低下をもたらすもののその後上昇するため節酒は血圧を下げます。 高血圧治療ガイドラインでは適正飲酒についてエタノール換算で示されており男性は20~30mL/日 以下で、女性では10~20mL/日 以下に制限するべきで ある。と示しています。エタノール20~30mLはビール中瓶1本、日本酒で1合焼酎で約半合、ウイスキー・ブランデーでダブル1杯、ワインで約180mLに相当 します。 女性は男性に比べてより少ないアルコールで害を受けてしまいます。それは女性の体格や肝臓の大きさ、 さらには女性ホルモンにはアルコールの分解を抑 える作用があるからのようです。

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 アルコールと睡眠剤の併用は睡眠剤の作用を増強したり、奇異反応(睡眠薬を服用してかえって不安や緊張が高まって興奮や攻撃性が増したり錯乱状態になるこ と)が出現しやすくなり危険です。妊娠中や授乳中は胎児や乳児の脳や体の発育に影響を及ぼす危険性があります。未成年者の飲酒も心身の発育を害することが あります。

アルコールの代謝

 まず飲んだアルコールは胃で約20%、小腸で約80%吸収され、血液に入り全身をめぐります。体に入ったアルコールの大部分は肝臓で代謝されてアセトアルデヒ ドになります。アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によりアセテート(酢酸)に分解されます。アセテートは血液によって全身をまわり、筋肉や脂肪 組織などで水と二酸化炭素に分解されて体の外に出て行きます。また、飲んだアルコールの2~10%はそのままのかたちで呼気や尿や汗として排泄されます。 ALDH の活性作用には個人差があり少量のアルコールでも顔が赤くなるタイプはALDH の2型で、この体質は生まれつき決まっているものなのです。 アルコールを飲む速度が速いと血液中のアルコール濃度が急に高くなるため、アルコールによる体の障害が生じやすくなります。また、1つの目安ですが体重60kg の成人男性でアルコールが体内から抜けるまでにはアルコール1単位で3~4時間かかり、2単位では6~7時間、3単位では9~10時間かかると言われています。

飲酒関連医薬品

シアナマイド五苓散

 節酒や断酒の目的で使用されます。成分のシアナミドは体中でのアルコールの代謝を遅くすることで、アルコールの摂取量を減らしたり、アルコールを飲みにくくする作用があります。 二日酔に保険適応があります。黄連解毒湯には保険適応はないものの、同じく二日酔に効果あるため使用されています。