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冷えの漢方治療と養生

はじめに
冷えの漢方治療と養生とは

 これから寒くなってきますね。体が「冷える」ことで様々なトラブルが生じてきます。そこで今回は「冷え」をテーマとし、漢方薬と養生による治療をご紹介したいと思います。漢方では個人の体質に合った薬を選ぶことができます。 その結果、冷えのほかによく伴う症状であるめまい、頭痛、肩こり、下痢などがあれば、それらを同時に改善させることもできるのも漢方の特徴と言えるでしょう。

『冷え』の原因

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※ 陰性食品とは体を冷やす食品のことです。生野菜(サラダや夏に採れる 野菜)、果物(バナナなどの熱帯産のもの、ミカンのように水分の多いもの)、 白砂糖の類、ビールなど。

『冷え』の漢方治療

  冷えの原因や症状、部位によって使われる処方が異なります。単に温めるだけではなく、水分代謝や血の流れを良くしたり、自律神経系を整えるといったことも大切です。女性では月経不順や月経痛があり、むくみやすい場合は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、 肌が乾燥してカサカサしている人は四物湯(しもつとう)をベースとした漢方が処方されます。
 胃腸系が弱く、冷えると下痢をしやすい場合には胃腸を温め消化機能を改善する人参湯(にんじんとう)や真武湯(しんぶとう)を用います。人参湯は胃に、真武湯は腸の方にそれぞれウェイトを置いたものと言っていいでしょう。 時に併用することもあります。また人参をベースにした漢方に補中益気湯(ほちゅうえっきとう)があります。免疫細胞を活性化し、疲れやすい、風邪を引きやすいタイプの方に有効です。
 腎・膀胱系が弱い場合は水分代謝が悪く、体内の水分が余剰になるために冷えますので、トイレが近く、腰から下が水につかっているように冷えを感じる場合は 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)を用います。 これで効果のない場合は 附子という生薬を加えることで改善されることがあります。また、足腰が弱く夜間 尿が多く、目のかすみ、 視力低下などがあれば八味丸(はちみがん)が良いで しょう。 63-4a.gif
 その他、 しもやけがある場合は当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかご しゅゆしょうきょうとう)が、 更年期障害でみられる精神症状 (イライラ感)を伴う 場合には加味逍遥散(かみしょうようさん)、瘀血(停滞した血液)が関与するの ぼせ、肩こりがある場合は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が用いられることもあります。

飲み方が重要

 体を温める漢方薬を飲む場合、 水ではなくお湯で飲んで下さい。 さらに言えば、 熱いお湯に溶いて「フーフー」しながら飲むくらいが良いのです。 例として、葛根湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、真武湯、大建中湯などがあります。

『冷え』ている可能性を考える

  「冷え」を自覚していなくても、治りにくい症状の裏に「冷え」が隠れていることがあります。例えば、ジュースや甘いものが好き、冷房嫌い、果物や生野菜が大好きである とか、 ヨーグルトの常食、夜トイレの回数が多いなどがあれば食生活を改め、温める必要性を考慮します。
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