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糖尿病診断基準の改訂

はじめに
糖尿病診断基準の改訂とは

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 日本糖尿病学会は1999年以来11年ぶりに糖尿病診断基準を新しくし、 2010年7月1日より施行しています。
 従来では慢性の高血糖を証明するためには原則として別の日にも検査を行い、ともに血糖値が糖尿病型である場合に初めて糖尿病と診断されていました。 けれども、このやり方では再検査がなされないまま放置される場合もあったと考えられ、 改訂の目的としては1回の検査で糖尿病型であれば、その時点で糖尿病と診断して直ちに治療を開始できるようにし、 糖尿病を発症した場合でもより早期から血糖コントロールを良好に保っておくことで、細小血管症であれ、大血管症であれ、 その発症や進展を抑制することで糖尿病であっても健常者と変わらないQOL(生活の質)や健康寿命を確保することにあります。

糖代謝異常の判定区分と判定基準62-2a.gif

1. 早朝空腹時血糖値 126mg/dL 以上。
2. 75g OGTT(後述)で2時間値 200mg/dL 以上。
3. 随時血糖値 200mg/dL 以上。
(随時血糖値とは食事と採血時間との関係は問わないで測定した血糖の値)
4. HbAlc が 6.1% 以上。

 ①~④のいずれかが確認された場合は糖尿病型と判定され、①~③のいずれかと④が確認された場合には糖尿病と診断できます。
一方、正常型と判定されるには早朝空腹時血糖が110mg/dL未満で75g OGTTでの2時間値が140mg/dL未満でなければなりません。
糖尿病型と正常型の間を境界型といいます。


改訂診断基準のポイント62-3a.gif

1. HbAlcの基準値を今までの補助的な位置づけで6.5%以上であったもの を、判定のためのHbAlcとし、値も6.1%以上へと欧米などの診断基準 にあわせたこと。
2. 1回の検査で糖尿病と診断できるとしたこと。
3. HbAlcのみが1回目の検査でも再検査でも高くても、それだけでは糖尿 病とは診断できないこと。

75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)62-4a.gif

1. 朝まで10時間以上絶食の後、空腹時のままで通院する。
2. 空腹のまま採血をし、血糖値を測定する。
3. 次にブドウ糖75gを水に溶かしたものか、それに相当するでんぷん分解産物 (トレーランGなど)を飲用する。
4. そのあと(ブドウ糖負荷のあと)、30分後、1時間後、2時間後と採血をして血 糖値を測定する。
検査終了まで喫煙、運動は控えます。


 75g OGTT は糖尿病の診断に必須ではありませんが、空腹時血糖値が110~125mg/dLの人や随時血糖値が140~199mg/dLの方やHbAlc が5.6~6.0%の方など、糖尿病の疑いが否定できない方には、強く推奨されています。

血糖コントロールの指標

1. 細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)の発症予防や進展の抑制に は下表 の優または良を目指す。
2. 個々の症例によって年齢と合併症に応じて適切な治療目標が設定されます が妊娠中の血糖コントロール目標は厳しいものとなっています。
3. 長期にわたって血糖コントロールが不良であった場合には、 急激な血糖値 の低下により網膜症や神経障害などの合併症が悪化する場合があるので 注意する。
4. 低血糖にも注意する。
5. HbAlc値は過去1~2ヶ月間の平均血糖値を反映する指標であって血液中の ヘモグロビンとブドウ糖が結合している割合を%で表したもので、 血糖値が 高いほど数値も多くなります。 長期の血糖コントロール指標として用いられ、 血糖値に比べて食事や運動による変動がないため血糖コントロール指標で は重視され、主要な判定はこれによって行われます。
6.患者の代謝状態はHbAlc値、空腹時血糖値、食後2時間値、随時血糖値などを総合的に見て判断することが大事です。

血糖コントロール指標と評価

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