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てんかん

はじめに
てんかんとは
てんかんの定義

 WHO(世界保健機構)の定義では、てんかんは種々の原因(遺伝、外因)により起きる脳の病気であり、自発性かつ反復性の発作(てんかん発作)を主徴とし、脳波検査で発作性放電を示し、多彩な発作症状を示す慢性の脳疾患であるとされています。

てんかんの患者数

 てんかんの患者数は人口のほぼ1%とも言われていて、まれな病気ではありません。 てんかんは脳の発達途上の3歳までと、学童期に起こりやすく、患者の大部分は20歳 までに発症します。 それ以降は発症が減りますが、高齢化に伴う脳の老化による変化すなわち脳血管障害や脳腫瘍などの原因でてんかんが発症する事も増えているようです。

てんかんの原因

 原因としては、おまかな分類では下記のように2つに分けられます。71-1a.gif

特発性てんかん ⇒ 原因不明のもの
症候性てんかん ⇒ 脳の外傷や脳腫瘍、脳血管性障害などが原因で起こるもの

てんかんの検査と診断

 患者さんに表れるけいれんや意識消失といった種々の発作がてんかんかどうかは、検査が必要です。

問 診 ⇒ 患者本人、家族あるいは同僚やクラスメートなど周囲の人から発作の状態を詳しく尋ねる。

身体的診察  ⇒ 主に神経学的診察で、麻痺があるかないかなどを調べる。

脳波検査 ⇒ 脳波は脳内の神経細胞の電気的活動を目に見える形に変換したもので、てんかんの約90%は脳波異常を示します。

頭部MRI検査やCT検査 ⇒ 脳波と並ぶてんかん診断の重要な検査法です。


血液検査 ⇒ 身体に異常が無いかどうかを調べるために行います。71-2a.gif

てんかん性の脳波

71-3a.gif  そもそも脳は全身の働きを調節していますので、てんかんでは脳内ニューロン(※後述)の過剰な放電(脳内での電気ショート)により突発的な症状、つまり発作が起こります。
 てんかん性の脳波は発作の見られない時でも鋭利な上方に尖った波型(棘波:きょくは)として現れます。 この棘波は脳の一部から出現する場合、あるいは脳全体から一斉に出現する場合かにより、部分発作か全般発作かに分類されます。
※ ニューロン:中枢神経系を構成するもっとも基本的な単位で、細胞体(細胞核やミトコンド リアなどを含む)とそこから延びる軸索と、その先端に手掌のように広がる複数のシナプスから構成されています。

脳内ニューロン

 脳内ニューロンは大きく分けて興奮性ニューロンと抑制性ニューロンとがあり71-4a.gifますが、興奮性ニューロンの神経伝達物質の代表は最近アルツハイマー病でも取り上げられているようにグルタミン酸で抑制性ニューロンの神経伝達物質の代表はガンマアミノ酪酸(GABA)です。

てんかん薬の血中濃度と血中濃度半減期

 てんかんの約80%は抗てんかん薬で発作を抑える事が可能で、多くの人たちが普通に社会生活を営んでいます。 現在わが国では、ほとんどの抗てんかん薬の血中濃度を測定する事が出来るため、統計的に割り出された効果のある最低限の血中濃度とこれ以上では副作用が出やすくなるという中毒濃度とが決められています。 また、服薬後に体内から排出される速度も薬剤により異なるため、半減期(薬剤のピークの血中濃度の半分になるまでの時間)の長いフェノバルビタール(商品名:フェノバールなど)やゾニサミド(商品名:エクセグラン他)などは1日1回の服用でも効果を表します。 バルブロ酸(商品名:デパケン、バレリン、セレニカ等)では半減期を長くするための徐放剤としての製剤があり、服用の回数が少ないほど飲み忘れが少なく、血中濃度は保たれることになります。

徐放剤の服用方法:噛み砕くと徐放性が失われるため、噛み砕かずに服用してください。 63-4a.gif66-3a.png

抗てんかん薬の副作用

ほとんどの抗てんかん薬の作用はニューロンの興奮性をおさえるものです。 このため抗てんかん薬の服用量が増えるとその作用も高くなり、正常なニューロンの機能さえも抑制されることになり、その結果表れる症状として代表的なものは、眠気とふらつきがあります。