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小児の喘息

はじめに
小児の喘息とは
成人の喘息と小児の喘息

70-1a.gif小児喘息の患者数は最近では約6%まで増加したと推測され、小児科ではよくみかけられる疾患の1つです。
 喘息は気管支喘息ともいい気管が狭くなる病気で、発作性の呼吸困難やゼイゼイやヒューヒューといった呼吸時に起こる喘鳴(ぜんめい)、胸苦しさ、咳などがくり返し起こる疾患です。
 喘息は大人も子どもも季節の変わり目に悪化することが多く、梅雨時にも悪化しやすく、気圧の変化等にも影響を受けます
 小児の喘息も成人の喘息と同じように気道の慢性的な炎症疾患ですが、成人の喘息は完治は期待できないものの、小児の喘息は思春期になるまでに症状が出なくなることも多いため、「子どもの喘息は治るものである。」 という事を理解し、大人になっても苦しむことのないように積極的に治療をして治していくことが大切です。

喘息の病型70-2a.gif

 喘息の病型はアトピー型と非アトピー型に大きく分けられます。とは言っても喘息の症状そのものには大きな違いはみられるものではありません。
 小児喘息は90~95%はアトピー型であるといわれていますが、アトピー型というのはアレルギー性で、原則として抗原(アレルゲン)に対して特異的なIgE抗体が血清中に見られるものであり、一方、非アトピー型は成人になってから発症する喘息に多く、アレルギーの関与が証明できないタイプをいいます。

気道の収縮、浮腫と慢性炎症

70-3a.gif喘息状態の気道では、気道のマスト細胞(肥満細胞)の表面に特異的なIgE抗体が付着しています。そのIgE抗体に、体内に入ってきた原因となるダニなどの抗原が結合し、結合することでマスト細胞からはさまざまな化学物質が放出されます。代表的なものがヒスタミンです。それらは気道の平滑筋を収縮させ、気道粘膜には浮腫を起こし気管支の内腔を狭くしてしまいます。
 また、それに次いで白血球の一種である好酸球は気道内に集まり、この好酸球や マスト細胞から放出されるロイコトリエンなどによって気道平滑筋の収縮 気道粘膜の浮腫に加えて気管支の炎症(ただれ)を起こしてしまうのです。
 気管のただれは過敏でアレルギー状態でなくてもちょっとした刺激でも喘息発作を起こすようになります。たとえば、タバコの煙、かぜをひく、急に冷え込む、気圧の変化、たくさんのほこり、運動といったような事でも喘息は起きてしまうのです。

治癒を目指した治療

 治ゆを目指した治療とは気管の慢性炎症(ただれ)を修復することにあります。ただれを修復してくれる薬剤には炎症をおさえる吸入ステロイドやロイコトリエンを抑制するオノン、シングレア、キプレスなどがあります。
 吸入ステロイドは内服薬のステロイドのような副作用は生じないため小児でも安心して使用することができますが、吸入時に肺まで届かずに口の中でとどまったステロイドは口腔内カンジダや嗄声(させい)の原因になりますので、吸入後はうがいをしてください。うがいが難しい乳幼児では水などを飲むことで口の中に残ったステロイドを流すことができます。

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喘息発作と気道感染症

 かぜなのか喘息発作なのかと考えられることもあるかと思います。実際はかぜによって喘息を起こしてしまうことも多いようです。喘息発作を誘発する病原体にはかぜウィルス、RSウィルス、サイトメガロウィルス、インフルエンザウィルス、マイコプラズマ、クラミジアなどがあります。