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うつ病と脳内神経伝達物質

はじめに
うつ病と脳内神経伝達物質 ~セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン~とは

 5月といえば、五月病(ごがつびょう)という言葉を聞くことが多くなります。48-3a.jpg
新年度の4月に新しい環境に移り、やる気はあるもののその環境に合わない人にとっては、ゴールデンウィークが終わった頃から、うつ病に似た症状が表れることがあります。 これは、正式な病名ではありませんが五月病と呼ばれていて、重症化するとうつ病に進行することがあります

うつ病

48-2a.jpg ストレスなどが引き金となって、うつ病の人の脳の中では脳内の神経伝達物質の伝わり方がバランスを崩し、神経間の情報伝達がスムーズに行なわれなくなるという変化が起きています。 なぜそうなるかはよく分かっていませんが、遺伝的な要素と心理的な要素が相互に関連して発症すると考えられています。 
 うつ病では、このように神経間の情報伝達がうまくいかなくなることによって体に不調が現れてくるので、なまけていたり心が弱いからなるのではありません。 
2020年には、うつ病で尊い命をなくす人は第1位のがんに次いで第2位になる可能性があると言われています。 うつ病は誰にでも起こりうる病気であり、また治る病気でもあるのです。

※うつ病に関してはパンダ通信第51号も参考にしてください。

モノアミンとうつ病の関係

 うつ病には脳内の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンが大きく関係しています。 セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどはアミノ基(構造式では-NH₂)を1つ含んでいるためモノアミンと呼ばれています。 脳内のこれらのモノアミンが不足することと、うつ病とは大きく関連が あり、これら三種のモノアミンの伝達を良くする抗うつ薬が開発されています。69-1a.gif

セロトニン

 セロニトンは不安や緊張、衝動性、いらいら感などに関係していて、これらの症状を抑える作用があります。 セロトニンは長い間のストレスによって消費量が増え、足らなくなって不足した状態が続くと、うつ病やパニック障害の発症につながります。

ノルアドレナリン

 ノルアドレナリンは交感神経の刺激によって脳内に放出されます。 意欲や興味関心と深い関係があります。 動物(人間も含む)において脳内で一番多く分泌されている神経伝達物質で、ストレスを受けると分泌されるため、「ストレスホルモン」とも呼ばれています。 ストレスを受けてノルアドレナリンは分泌されるものの、そのうち消費量の方が分泌量を上回り、ノルアドレナリンは不足してきます。 そうなると、意欲は低下し、無気力、無関心な状態となりうつ病発症の一因となるのです。

ドパミン

69-2a.gif ドパミンからはノルアドレナリンが合成されるのですが、ドパミンはというと食事から取り込んだアミノ酸のフェニルアラニンとチロシンからLドパを経て合成されます。
 ドパミンは脳の覚醒、集中力、自発行動に関係していて、ドパミンの不足の病気としてはパーキンソン病があります。 また、ドパミンにはストレスの解消や楽しい、気持良いという感情を生み出す働きもあるのです。
けれどもドパミンは、多すぎると総合失調症や強迫神経症やチック症の一因ともなります。

高齢者うつ病69-3a.gif

 高齢化が進むにつれ高齢者のうつ病も増えています。 イライラや焦燥感や不安感が強くあらわれ、多動のためうつ病と診断にしくいこともあり、うつ病が見逃されることがあります。 高齢者のうつ病では一時的に認知症のような症状が見られることもあります。 環境的な要因としては、人間関係における孤立が多く、在宅での介護疲れも要因となります。

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