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慢性疾患における運動の効果 その2

はじめに
脂質異常症における運動の効果 とは

脂質異常症における運動の効果(その2)55-3a.gif
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運動による脂質代謝改善作用機序

 運動によってエネルギー源として脂肪組織内や血中の中性脂肪(TG)が消費されます。また、定期的な運動はTGの分解酵素の増加と活性をもたらせて、血中のTGを減少させ、HDL-CからLDL-Cに変える酵素の活性は低下させるため、HDL-Cの上昇とLDL-Cの低下をもたらせます。
55-5a.gif また、 運動することによって改善されるインスリンの感受性は、 糖代謝の改善と同時に脂肪組織からの脂肪酸の放出を抑え、また、肝臓でのⅤLDL (コレステロールのみならず中性脂肪物も多く含んだ物質)の分泌をも抑えることで、血中のTGを減少させます。

運動による血清脂質改善効果の研究結果

 有酸素運動は血清脂質(中性脂肪、LDL-C、HDL-C)を改善することは明らかにはされているものの、数値的にみれば薬剤の1/10~1/6程度で、レジスタンス運動(筋力トレーニング) では中性脂肪やLDL-Cの改善はあるもののHDL-Cの改善にはつながらず、運動単独では、大きな血清脂質改善効果は見込めないため、食生活の改善と併用した生活習慣の改善が重要です。
体重減少と血清脂質改善との間には有意な関係があり、運動による血清脂質改善効果には、運動そのものの効果のほかに、定期的な運動による肥満
改善の効果も大きく影響している可能性があります。

HDL-コレステロール改善(上昇)のための運動効果の研究結果

 運動によるHDL-Cの上昇は明らかなものの、前述のように実際には期待されるような成果が得られない場合も多く、有意なHDL-C上昇を認めるには、少なくとも週 に約900kcal以上の運動量が必要であると推定されます。HDL-C上昇のためには頻度や運動強度よりも1回当たりの運動時間を10分増やすごとに約1.4mg/dLのHDL-Cの上昇効果が期待できることが研究結果で明らかにされました。そして、肥満者では、その運動によるHDL-Cの上昇効果は起こりにくいことも示されました。

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