pt54.jpg

慢性疾患における運動の効果 その1

はじめに
慢性疾患における運動の効果 その1i54-3a.gif
高血圧と糖尿病

高血圧に対する運動の効果

54-2a.png


運動効果の作用機序

 有酸素運動時には、血流が増大し、その血流増大に伴って血管拡張物質である一酸化窒素が放出され、動脈の緊張をゆるめます。有酸素運動後は30分から2時間程度の間、血圧と血管壁の硬さが低下すると言われています。このような有酸素運動を習慣にして継続して行うことは、動脈血管の内皮機能を改善し、その事は、 高血圧症の改善と動脈硬化の改善につながるのです。

 また、習慣的に続ける有酸素運動は、自律神経の副交感神経の働きを優位にすることで、血管の収縮を抑え、心拍数も低下させるのです。

筋力トレーニングと高血圧の関係

 筋力トレーニングは筋力を増大させ、骨粗鬆症や筋力低下の予防にはつながるものの、筋力トレーニングのみを習慣的に実施しても、有酸素運動でみられるような高血圧症の予防や改善効果は期待できないと考えられています。


大切なこと

 運動による高血圧症改善と同時に、 食塩摂取量や総脂肪摂取量やアルコール摂取量の制限、および野菜や果物の摂取の促進、適正体重の維持、禁煙などを同時に取り組むことが必要です。

 食事の改善ではおよそ5~15mmHgの、 体重減少では およそ15mmHgの血圧低下が期待されるのです。


糖尿病における運動の効果

54-2a.png



運動効果の作用機序

 運動直後には、ブドウ糖と脂肪酸の利用が促進されて血糖が低下する急性効果と、 インスリン抵抗性改善(インスリンの効きが良くなること)の慢性効果があります。 歩き出して数分たつと、筋肉グリコーゲンが消費されると、筋肉は血液中からブドウ糖を借りてくるので、その分血糖は下がります。運動後は使ったグリコーゲンを補充するため、さらに血糖は低下します。



運動療法の観察結果

 肥満を伴い、糖尿と診断される前段階である境界型の場合、減量に加え、週に150分程度(1回30分を週に5回、あるいは1回50分を週に3回など)の速歩などの有 酸素運動が、糖尿病となるリスクを半分に減らしたという観察研究があります。また週に60分(1回30分を週に2回など)以上の運動でさえ糖尿病予防につながり、ま た通勤で歩く時間が長い人ほど糖尿病になりにくい事も示されています。という事で 運動の目安としては1回30分を週に2回から始めたり、通勤で1駅前で 降りて20分歩くなどをして、糖尿病予防につとめて下さい。



運動の強度

 運動時の心拍数は50歳未満では1分間100~120拍以内、50歳以降では1分間 100拍以内と言われていますが、「楽である」または「ややきつい」といった体感を目 安にすると良いでしょう。



高齢糖尿病患者の運動療法

54-4a.gif  高齢糖尿病患者の場合には変形性膝関節症を伴う場合が多く、歩く時には体重の 2倍、 階段を下りる時には5~6倍の重さが膝にかかるため、 膝の痛みが強くなる こともあるため、そういった方ではラジオ体操や家事を行うことも食後の血糖を下げ るため、歩くことにこだわる必要はありません。

 また、水中運動はお勧めで、首まで水中に入ると体重は月の動力と 同じ約 1/6 になり、肥満者は体脂肪が浮き輪の役割を果たすので、 膝を守ることが出来ます。水中で早く動くほど水の抵抗は大きくなり、 筋力トレーニングにもなります。